honnohuku〜着せ替えるブックカバー

2018/08/11 16:04


ブックカバーを付けて読んでいるうちにいつの間にか外して読んでいる自分がいた

透明ブックカバーなどのプラスティック製品を作っている工場の技術者だった私が、生産現場で様々な本のサイズのカバーの製造に苦労していた現状を見て、いろいろな厚みに対応し、誰にでも簡単に装着できるブックカバーを作れないかと思ったの始まりでした。


従来のブックカバーの概念を疑い、今までとは違うモノを作ろうと考え
なぜ、ブックカバーは一つの構造なのだろう?二つの構造でいいのではないか」


その後、退社し世界を旅すること数年
滞在先のバンコクの街を歩いていた時、とあるヒントに出逢い「これはブックカバーに応用できるのでないか」と閃きました

帰国後、特許を申請し開発を始め、和紙や紙貼り布のサンプルでISOTという展示会に参考出品にて出展させて頂きました。
様々な方から評価受け、雑誌やWebマガジンや業界新聞などに取り上げて頂き、周囲から「いつ発売するのですか?」と聞かれていました。ですがこのまま商品化をするのに、何故か私自身納得がいっていませんでした

展示会で出逢った読書家の方々からブックカバーに求める「何度も使うと汚れるので洗いたい」の声をヒントに
『服のように洗えるブックカバーを作ろう』と思い立ち、honnohukuへの開発へ踏み出しました

しかし、この決断がこの先、苦労と時間をここまで要するとは…この時は思いも知りませんでした

縫製や生地について右も左も分からない私は、先ずは幾つもの縫製工場に相談をしたのですが、業界には無かった特殊な構造もあり「やれなくはないが...」「うちはちょっと...」「ブックカバーは...」という対応ばかりでした。

それだったら自分達でパターンから縫製・試作をやってみようと思い、クラフト作家さんの協力を得て、様々な服飾の芯材を用いて試作し、洗濯などのテストをして、結果が納得いかなければ、材料や新たなパターンに変更して何度も作り直しては洗ってみるという作業を繰り返していました

・本にぴったりフィットして読み心地が良いこと
・スライド部がスムーズに動き誰でも簡単に厚さ調整ができ尚且つ滑り過ぎないこと
・洗ってもそれらの感覚や機能が復元し持続していること

という3つの要素を両立させることに大変苦労していました

うまくいかず、行き詰まり八方塞がりの中、用事で訪れた旅先のベルリンの街を歩いていたら、ふと目に止まった文具雑貨店にそのヒントになりそうな『濡れても形が崩れず、乾いたら元の形に戻る紙』に出逢いました。
「芯はこのような紙で考えてもいいのではないか?」
最初に自作したサンプルも紙で作っていたので原点に戻っても良いのではないかと考えました。

帰国後、その紙を取り扱っている会社で、求めている素材を相談した時、担当者の方に特殊な不織布を提案をして頂き、見て触ってみた瞬間「これは!」とピンときました。

それから、新たな複数の候補の芯材で試作をしてテストを経て良い結果が出たのは、このピンと来たのはこの素材でした。

洗っても柔らかくなり過ぎず、ちょうど良い硬さキープして、使えば使う程丁度良い感じにも馴染んで、読み心地もこの上ないぐらいに良く、これなら世に出せると確信しました。

そして誕生したのが、このhonnohukuです。

そんな、世界を旅して出逢ったヒントがギュッと詰まったブックカバーです。


Mail Magazine

新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。