honnohuku〜着せ替えるブックカバー

2025/10/10 12:45




ブックカバーを付けて読んでいるうちにいつの間にか外して読んでいる自分がいた。

透明ブックカバーなどのフィルム製品を作っている工場の技術者だった私が、生産現場で様々な本のサイズの厚みに対して機械を止めて調整している姿を見て、どんな厚みに対応し、誰にでも簡単に装着できるブックカバーを作れないかと思ったの始まりでした。


従来のブックカバーの概念を疑い、今までとは違うモノを作ろうと考え
なぜ、ブックカバーは一つの構造なのだろう?二つの構造でいいのではないか」


その後 退社し、世界を旅すること数年...滞在先のバンコクの街を歩いていた時、とあるヒントに出逢い「これはあのブックカバーに応用できるのでないか」と閃きました



帰国後、この閃いた構造で特許申請をすることにしました

その年のISOTという展示会に出る機会に恵まれ、和紙と布貼り紙で参考出品にて出展しました。先ずはお客様からお声や反応を聞きたいと思っていました

様々な方から興味を持って頂き、雑誌、Webマガジン、業界新聞などに取り上げて頂き、周囲から「いつ発売するのですか?」と多く聞かれていました

ですが、このまま商品化をするのに、私自身納得がいっていませんでした

展示会で出逢った読書家の方々からブックカバーに求める「何度も使うと汚れるので洗いたい」の声のヒントに
『服のように洗えるブックカバーを作ろう』と思い立ち、honnohukuへの開発へ踏み出しました

しかし、この決断がこの先、苦労と時間をここまで要するとは…この時は思いも知りませんでした

縫製や生地について右も左も分からない私は、先ずは幾つもの縫製工場に相談をしたものの、業界には無かった特殊な構造もあり「やれなくはないが...」「うちはちょっと...」「ブックカバーは...」という対応ばかりでした

それだったら自分達でパターンから縫製・試作をやってみようと思い、クラフト作家さんの協力を得て、様々な服飾の芯材を用いて試作し、洗濯テストをして、結果が納得いかなければ、材料や新たなパターンに変更して何度も作り直しては洗うというテストを繰り返していました

①どんな厚みにもぴったりフィットして読み心地が気持ちが良いこと
②スライド部がスムーズに動き簡単に厚さ調整ができ尚且つ滑り過ぎず、そして抜けないこと
③洗っても①②の感覚と機能が復元、持続していること

という3つの要素を両立させることに大変苦労していました

うまくいかず、行き詰まり八方塞がりの中、とある用事で訪れた旅先のベルリンの街を歩いていると、ふと目に止まった個人の文具雑貨店に引き寄せられるように入っていました。

そこには優しい笑顔で迎えてくれた若い店主がいました
彼からいつくかの商品を紹介してた中のひとつに、ヒントになりそうな『濡れても形が崩れず、乾いたら元の形に戻る紙』の商品に出逢いました
その時、私は「ブックカバーの芯はこのような紙で考えてもいいのではないか?」
最初に試作したサンプルも紙で作っていたので原点に戻っても良いのではないかと考えました

帰国後、紙を取り扱っている会社で、求めている素材を相談した時、担当者の方に特殊な素材を提案をして頂き、見て触ってみた瞬間「これは!」とピンときました。

それから、複数の素材を選んで芯材で試作をしてテスト経て良い結果が出たのは、この最初に出逢ったピンときたこの素材でした。

洗っても柔らかくなり過ぎず、程よい良い硬さキープして、使えば使う程 馴染み、大事な読み心地も決して失わない、これなら読書家の方々に気に入って貰えると確信しました

世界を旅して出逢ったヒントがギュッと詰まって誕生したのがブックカバーのhonnohukuです。

つづく